現在生産されている国産車の9割以上がAT車を占めており、MT車に乗る機会は大幅に減っています。
AT車はアクセルを踏むだけで発進しますし、シフトレバーも一度操作したらバックなどしない限りいじることは滅多にありません。たまにエンジンブレーキ等で操作もしますが……
その中で疑問に思った方もいると思いますが、ニュートラル（Nレンジ）はどのタイミングで使うものなのでしょうか？
たまに、「下り坂などはニュートラルにすると燃費が良くなる。」などと聞いたことがある方もいると思いますが、それは本当でしょうか？
そこで今回は、ニュートラルに関する疑問を解説していきます。
そもそも「ニュートラル」はどんな時に使うの？
ニュートラルとは英語で中立、中間を意味する言葉です。
意味通り、自動車のニュートラルとは「前進も後退もするわけではなく、ギアがどことも噛み合っていない状態」の事を指します。
そのため、タイヤにもエンジンの動力が伝わらないため、人間が手で押して人力で車を動かすことも可能です。
AT車でのニュートラルの使い道は、主に車の故障時や牽引の際などの緊急時に使います。それ以外の使い道はほとんど無いため、日常的に使用することはないでしょう。
一方、MT車の場合は停車時や駐車場など様々な場面でニュートラルを使用します。
MT車にはPレンジ(パーキング)が無いため、ギアをニュートラルにし、サイドブレーキを引いて停めておきますね！
ですので、AT車とMT車によってニュートラルの使い道はかなり変わります。
ただし、共通して良くない使い道もあります。
走行中のニュートラルの使用はダメ！
ニュートラルは「ギアがどこにも噛み合っていない為、エンジンの動力がタイヤに伝わらない」と言いました。という事は、信号待ちなどでブレーキを離しても「クリープ現象」が無いため、平坦な場所であればブレーキを離しても進む事はありません。そのことから「信号待ちではニュートラルにすると良い」と言われることがあります。
他にも、下り坂でニュートラルを使用すると燃費改善になると言われることもあります。
実は以上の事はどれも誤りで、間違ったニュートラルの使い方です。
これらを日常的に実施していると、車（ミッション）が壊れる可能性があります。
車というのは本来、ギアを変えるたびに多少なりともトランスミッションには負荷がかかります。特に、走行中にニュートラルに入れると、エンジンブレーキが効かなくなり、車両のコントロールが難しくなるため危険です。また、再度ギアを入れる際に変速機に不要な負荷がかかる可能性もあります。
また、教習所でも習った方も多いと思いますが、「下り坂ではエンジンブレーキを多様しよう」ということが、ニュートラルにしてしまうことでできなくなってしまいます。
そのため、AT車で日常的にニュートラルを使うことは危険にも繋がりますし、車にも良くない。とほぼメリットはありません。
基本的にニュートラルは緊急時用と思っていれば良いでしょう。
信号待ちなどでも使用してはいけない？
AT車の運転で、たまに「信号待ちではニュートラルにするといい」という人がいますが、これも誤りです。
先ほども言ったように、基本的にAT車ではニュートラルを使用することはありません。
確かに、ずっとブレーキを踏み続けないといけないのは面倒に感じる方もいると思いますが、それでニュートラルに入れてしまうと、車には負荷がかかります。
AT車で頻繁にギアを変えていると、ミッションに負荷がかかります。それが信号待ちのたびに行われていると車からしたら、大変なことです……
また、安全面から見ても良くないでしょう。
信号が変わって発進の際に、焦りからか咄嗟の判断で操作を誤り、バック（Rレンジ）にギアを入れてしまい追突してしまう。他にも、発進の際に一手間増えるわけですのでやはり正しいドライブスタイルとは言えません。
ただ、最近の車にはオートホールド（ブレーキホールド）機能が搭載されていることがあり、とても快適に運転できます。
オートホールド（ブレーキホールド）とは、脚をブレーキから離した状態でも車は止まり続けていて、発進の際は、アクセルを踏めば走り始める機能のことです。
このオートホールドがあれば、車にも悪くないし安全面も良いし身体的にも楽と良いことばかりですね！
一方MT車では、停車中にニュートラルを使用することはむしろ推奨されています。
MT車を運転したことがある方ならわかると思いますが、信号待ちや渋滞時などにクラッチを踏みっぱなしだと、脚がすごく疲れますよね……
そのため、停車時にはギアをニュートラルに入れて脚もクラッチペダルから離しておきます。
こうすることで、身体的にも楽だし車にも良いのです。
詳しい説明は省略しますが、クラッチペダルを踏みっぱなしにしてしまうとクラッチの動作を担うパーツの一つである、レリーズベアリングというパーツにダメージを与えてしまいます。
また、運転している際にクラッチペダルに脚を乗せたままの人がいますが、これもNGです。
一見、踏み込んでいないので、影響はなさそうに見えますが多少なりとも脚の重さでクラッチペダルが踏まれた状態になります。これが続くと、先ほどと同じく知らないうちに、各パーツへダメージを与えてしまうことになります。
MT車を運転する時は、以上のことを意識してみると良いですね！
AT車のNの位置には理由がある？
AT車のシフトパターン（ギアの並び順）は、P → R → N → D が基本です。
実はこの順番にも理由はあり、JIS規格で定められた、安全面と車への負荷を考慮した配置になっているのです。
JIS規格（日本産業規格）では、以下のように定められています。
ここで言っている駐車位置が「P」で、後退位置は「R」、中立位置が「N」、前進位置は「D」にあたります。
要するに、Rはシフトパターンの最も端になくてはならず、かつRの隣でなければいけません。さらに、NからDに変えるときは、腕を引くように後方への操作が決められている。そして、RとDの間にはNを配置しなくてはならない。
以上の理由を考慮すると必然的に P → R → N → D の配置になるのです。
車を長く大事に乗りたいのなら、正しく乗ろう！
やはり車はできることなら、長く乗り続けたいですよね！その方が、愛着も湧きますし経済的にもおトクです。
そのためには、車に対して正しい使い方をしてあげないと不必要なダメージが蓄積してしまいます。
本記事のメインであるニュートラル正しい使い方も例外ではありません。
こういった細かいことの積み重ねで、車が故障するかしないかは大きく別れるのです。
これから運転する際は、ぜひ意識して運転してみてください！
それでは、良いカーライフを！
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