エンジンオイルの選び方|種類や表記の見方を徹底解説!

エンジンオイルの選び方。 基礎を徹底解説! メンテナンス

エンジンオイルは車には欠かせないものの1つになります。
エンジンオイルはエンジンの血液」と言われるほど大切なのです。
そんなエンジンオイルですが、選び方を間違えると、かえってエンジンに悪影響を及ぼすことがあります。
車屋さんのおまかせでも問題ないと思いますが、それはあなたの愛車にとって最適なオイルではないかもしれません……
一口にエンジンオイルといっても、さまざまな種類があり、車種によって適したオイルも異なります。さらに、季節や使用環境によっても最適なオイルが変わるため、何を選んでいいのか分からないですよね……

そこで今回は、エンジンオイルの選び方を徹底解説していきます。
車やエンジン、使い方や環境、季節などの様々な条件別に説明していきますので、これからオイル選びで迷うことはなくなりますよ!

そもそもエンジンオイルにはどんな役割があるの?

エンジンルーム

エンジンオイルには、エンジンを動かすのに欠かせないもので、エンジン内部のさまざまなパーツに対して使用されます。
主な役割は5つに分けられます。詳しく見ていきましょう!

潤滑作用

エンジン内部では、ピストンやクランクシャフトなどの金属パーツが高速で動いており、それらが直接触れ合うと摩擦が発生し、部品の摩耗や焼き付きの原因になります。
そこで、エンジンオイルが 金属表面の間に油膜を作り、摩擦を減らすことで、スムーズな動作を実現し、部品の寿命を延ばします。

密封作用

エンジンでは、ピストンと燃焼室をしっかりと密閉することが重要です。そこでエンジンオイルを、エンジン内部に流すことで隙間を密閉します。このおかげで、エンジン内で発生したガスや圧力が外に漏れず、エンジンがスムーズに動くように保たれます。

冷却作用

エンジン内部では、燃焼による高温や金属部品同士の摩擦熱が発生します。この熱が溜まると、部品の変形やオーバーヒートの原因になります。
そこで、エンジンオイルが熱を吸収しながら循環することで、エンジン内部の熱を下げています。
また、一部の車や高性能車にはオイルクーラーと呼ばれる、エンジンオイルを冷却する機能を持つ装置が搭載されています。

洗浄作用

エンジンは、ガソリンや軽油などの燃料を燃やして動きます。燃焼の過程で、スラッジと呼ばれる汚れがエンジン内部に蓄積していきます。
スラッジは燃料の燃えカスのようなもので、エンジンオイルにはこれを取り除く役割もあり、エンジン内部をきれいに保つ効果があります。

防錆作用

稼働中は高温になるエンジン内部ですが、エンジンを止めると外気との温度差によって水滴が発生してしまいます。この水分がサビの原因となり、エンジンの機能低下を引き起こすこともあります。
しかし、エンジンオイルが内部をコーティングし、防錆効果を発揮することで、サビの発生を防いでくれます。

エンジンオイルの種類

エンジンオイルにはさまざまな種類があります。
車やエンジンの種類、使い方、環境によって適したものが異なります。
エンジンオイルの違いは、主にベースオイル粘度規格の3つに分けられます。
それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう!

ベースオイル

ベースオイルとは、エンジンオイルの主成分となるオイルで、化学合成油(全合成油)部分合成油鉱物油に分けられます。
ベースオイルの違いは、コストや性能に影響するため、エンジンオイル選びにおいて、重要なポイントになります。

化学合成油(全合成油)

化学合成油は全合成油とも呼ばれ、原油を化学的に合成して作られる、より高品質なベースオイルです。
一般的には、スポーツカーやハイパフォーマンスカーに使用されることが多いです。

メリット
  • 耐久性、耐熱性が高い。高温による劣化や酸化がしづらい
  • 冷間時でもエンジンの始動性が良い
  • 高温、低温どちらの環境でも、高いパフォーマンスを発揮
デメリット
  • 一部の車では使用できない場合がある
  • 価格が高い

このように化学合成油には、たくさんのメリットがあります。
エンジンに良い添加物が加えられているから、このような効果を発揮出せるのです。
特に、スポーツ走行や高負荷がかかる運転をする車に向いています
また、化学合成油は、劣化や酸化に強いため、長期間安定した性能を維持します。そのため、オイル交換の頻度が少なくても十分に持つことができます。

しかし、化学合成油は高品質であるため、価格が高めですが、そのメリットを考慮すると、コストパフォーマンスは十分に優れていますよ!

注意点としては、一部の車や年式の古い旧車などでは、オイル漏れなどの事象が発生してしまう場合があるので注意が必要です。

部分合成油

部分合成油は、ベースオイルである鉱物油と化学合成油を混ぜ合わせたものです。
一般的には、鉱物油に20%〜30%ほどの化学合成油を加えており、両者の長所を生かした特性を持っています。
鉱物油は熱に弱く、耐久性が低いため酸化や劣化がしやすい特徴があります。そこに、20%〜30%ほどの化学合成油を加えることで、デメリットを補っています。
また、鉱物油のメリットでもある価格の安さを維持しながら、化学合成油の性能を取り入れることで、コストパフォーマンスと性能のバランスが取れたオイルとなっています。

鉱物油

鉱物油は、原油から不純物を取り除き、精製されたオイルです。

メリット
  • 価格が安い
  • 旧車や特定のエンジンに適している
デメリット
  • 熱に弱い
  • 酸化や劣化がしやすい
  • エンジンの始動性が悪い

鉱物油は、他のベースオイルと比べると、価格が最も安価でコストパフォーマンスの良いベースオイルです。
また、年式の古いクラシックカーなどでは、合成油の使用ができず、鉱物油しか対応していない場合もあるので、そのような車には鉱物油が必須となります。

デメリットとして熱に弱い点があります。エンジンは稼働中、高温になるため、鉱物油はその高温にさらされることで酸化が進み、劣化が早まります。他にも外気に晒されることにより、劣化が進み、パフォーマンスやエンジンの保護性能が低下してしまいます。

ただ、頻繁にオイル交換をするのであれば、問題なく使用できます
乗用車に鉱物油を使用する際は、メリットとデメリットをしっかりと理解した上で適切に使用するのがオススメです。

粘度

エンジンオイルには、粘度というオイルの硬さによる違いがあります。
エンジンオイルのパッケージによく「5W-30」のような記載がありますが、これはオイルの粘度を示したものです。
エンジンオイルの粘度を示す指標で、よく「粘度指数」とも呼ばれます。

粘度の表記には基準があり、この表記はSAE(Society of Automotive Engineers:アメリカ自動車技術者協会)によって定められています。

エンジンオイルの粘度指数の見方
  • 「W」は「Winter(冬)」を意味する
  • 「W」の前の数字は、低温時の粘度(数字が小さいほど柔らかい)
  • 「W」の後の数字は、高温時の粘度(数字が大きいほど硬い)

低粘度オイルの特徴

低粘度オイルは、エンジンが冷えているときに効果を発揮しやすい粘性です。
特徴としては、サラサラとした柔らかいオイルで、エンジンが冷えている時や寒冷地での始動性に優れています。
また、低粘度オイルには燃費が良くなるという特徴もあります。
オイルが柔らかいため、エンジンを動かす際の抵抗が少なく、その結果、エンジンの効率が上がり、高燃費に繋がります。

高粘度オイルの特徴

高粘度オイルは、エンジンが温まってから効果を発揮しやすい粘性です。
特徴としては、高温時でもエンジンの保護性能が高い点です。粘度が硬いため、オイルが温まっても潤滑作用や密封作用を維持でき、エンジンの保護性能も高いです。
ただし、オイルが硬いため、エンジンを動かす際の抵抗が高くなります。これにより、エンジンの始動性が悪くなることや、燃費が低下する原因につながってしまいます。

規格

エンジンオイルの品質、グレードを表す規格は4つあります。

  • API規格
  • ILSAC規格
  • JASO規格
  • ACEA規格

API規格

アメリカ石油協定が定めた規格です。
ガソリンエンジン用オイルには「S」が付き、ディーゼルエンジン用オイルには「C」が付きます。
SとC、それぞれの後に来るアルファベットが進むほど、新しく高性能であることが特徴です。
ちなみに、2025年時点では「SP」が最新のグレードになります。

ILSAC規格

日米自動車工業会が定めた規格です。
ILSAC規格は、API規格のエンジンオイルに省燃費性能という基準を追加したものです。
API規格だけでは評価されない燃費効率の面で、さらに高い基準を求められるため、ILSAC規格を満たすオイルは、API規格だけのオイルと比べて、より厳しい基準をクリアしている証となります。
グレードは「GF」の後に数字がつき、2025年時点では「GF-6」が最新のグレードになります。

JASO規格

日本自動車技術会規格が定めた規格です。
JASO規格の特徴としては、主にディーゼルエンジン用オイルの規格に対応しています。
日本国内で販売されているディーゼルエンジン車に適合するオイルは、JASO規格の「DL」の後に数字が付いている表記がされているものを選ぶ必要があります。
2025年最新では「DL-2」が最新のグレードになります。

ACEA規格

ACEA規格は欧州自動車工業会が定めた規格です。
ガソリンエンジン用・低灰分ディーゼルエンジン用・軽負荷ディーゼルエンジン用・高負荷ディーゼルエンジン用の大きく4種類分けられます。
ガソリンエンジン用オイルは「A」規格で、ディーゼルエンジン用オイルでは「B」規格です。
現在は、A規格とB規格は統合されており、「A5/B5」のように表記します。

エンジンオイルの交換方法

オイル交換

オイル交換をするときは、どのような方法で交換していますか?
エンジンオイルの交換方法は色々あり、それぞれに特徴があります。

交換方法特徴
ディーラーメーカー純正エンジンオイル
整備工場工場が取り扱うオイル
カーショップ自分で選んで購入したオイル
自分で交換好きなオイルを自由に選べる

ディーラーや整備工場では基本的に使用するエンジンオイルを選ぶことはできません。ただ、こちらで用意したオイルを持ち込んで交換してくれるケースもありますが、その場合は持ち込み料として、工賃に上乗せされる場合があります。
ただ、ディーラーの場合は純正品を使用してくれるため、安心できますよね!
一方カーショップでは、そのお店で取り扱っているエンジンオイルを購入し、そのままオイル交換までしてもらえるので、自由度は高いです。
自分でオイル交換をする場合は、好きなエンジンオイルを購入して使用するため、こちらも同様、自由度は高いです。

エンジンオイルの選び方

エンジンオイルの違いはわかったけど、自分の愛車にはどのエンジンオイルが合っているの?

確かに、エンジンオイルの違いや表記については理解できましたよね。
でも、自分の愛車にぴったりのオイルはどれなのか、どのオイルが一番ベストなのか、まだ迷っているかもしれません。
実際、車によってオイルの選び方は異なるので、ここからが重要なんです!

適正粘度ってなに?

エンジンオイルには、粘度と言われるオイルの硬さがあると説明しました。
実は、車によってメーカーが定めた適正粘度というものがあるのです。
一般的には、お車の取扱説明書に記載されています
エンジンオイルの粘度で説明した、表記が説明書にも書かれていると思いますので、そちらに従ってオイルを選ぶのが良いです。

適正粘度以外でも良いの?

結論から言いますと、適正粘度より低いものはNG!高ければ問題なし!

例えば、お車の説明書に記載されている適正粘度が「5W-30」だったとします。
その場合、「5W-40」のエンジンオイルを入れるのは問題ありません。しかし、「0W-20」のエンジンオイルを入れるのはNGです!

メーカーから指定されている粘度より柔らかくしてしまうと、エンジン内部に必要以上の摩擦が生じてしまい、トラブルの原因になってしまいます。
「粘度を柔らかくすることで抵抗が減り、燃費が良くなるかもれない!」と思って入れてしまうと、エンジンにダメージを与えてしまうので、注意が必要です。

一方、適正粘度より硬いオイルを入れる場合は、そこまで問題はありません。
ただ、左側の「低温時の粘度」ではなく、右側の「高温時の粘度」を高くしても問題ないということがポイントです。
適正粘度が「5W-30」の場合、「5W-40」はOKだけど、「10W-40」を入れてしまうのは控えた方が良いです。
基本的には、メーカーが指定した粘度のオイルを使用すれば問題ないですよ!
ただ、走行距離が増えてきた場合は、多少硬めのオイルを選んでも良いケースもあるので、整備士さんやカーショップの店員さん聞いてみるといいですね!

エンジンオイルはいつ交換したらいい?

オイルゲージ

エンジンオイルの交換時期は、エンジンの種類や走行スタイルによって大きく異なります。適切な交換タイミングを見極めることは、エンジンの健康を保つために重要です。
交換の目安やタイミングについては、別の記事でより詳しく解説していますので、エンジンオイルの交換タイミングについてはそちらをご覧ください!

愛車に合わせたエンジンオイルを選ぼう!

これまで、エンジンオイルの役割や種類、選び方について詳しく見てきました。
しかし、最適なオイルは車の使い方によって異なるため、一概に「これがベスト!」とは言えません。
街乗りなら、基本的にメーカー推奨の適正粘度を選ぶのが良いです。ただし、エンジンの状態や運転スタイル、環境などによって最適なオイルは変わるため、状況に応じて使い分けることが大切です。
あとは、オイルは適切な交換タイミングで交換するのが何より大切です。
それでは良いカーライフを!

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